第36章 バッドロマンス・グッドエンド
崩玉を取り返せたのだ、後は彼に任せるだけで心配はない。私の、唯一無二の、大切な幼馴染。どうか長生きしてほしいと願う。
イヅル。いつも私を信じてくれて、いつも私を理解してくれた。私には勿体無いほど優秀な副官だった。彼は遠い未来、隊長になるだろう。その時は是非、三番隊の隊長であってほしい。私が残した三番隊の隊首羽織を、今はまだしがみついていても良い、けれど、いつか手放せるようになってほしいと願う。
他人に頼ることを教えてくれた平子隊長。いつだって私を諦めないでくれた。いつだって手を伸ばしてくれた。その優しさにどれほど救われたことか。彼の糾弾を最後の最後まではぐらかしてしまったけれど、どうか、真実を知っても、私を許さないでほしいと願う。私はそれだけのことを犯したのだ。
私の理解者であり、友であり、兄のような白哉クン。私が落ち込んだ時は黙って側にいてくれた。私が行方を眩ませても、いつも最初に見つけ出してくれたのは彼だった。不器用な優しさが心地良かった。彼の隣は安心した。大好き、だった。どうか幸せになってくれと願う。
日番谷クン、雛森チャン、そして他のみんなも、私のことなぞすぐに忘れ去ってしまって、幸せな日々を過ごしてほしい。
犠牲になったなんて、これっぽっちも思っていないのだ。心優しい彼らは、私の任務のことを聞いて、恐らく心を痛めてくれるのだろう。同情なんていらない。私は私のために、藍染隊長の下についたのだ。そうして、どうしても藍染隊長への情を捨てきれずに、こうして心中するだけなのだ。馬鹿な女が一人居たと、笑ってほしい。それだけが、良い。
「大切なモノたくさんできて、たくさんの人に出会えて、---幸せやった」
私、幸せだった。
死ぬことは、怖くなかった。
「ほな、お待たせしました藍染隊長」
胸に、そっと手を当てる。
「死せ、神死鎗」
徒花まみれの心臓
(胸に空いた穴を見遣る。そうして、眼を閉じた)
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これにて完結です。
市丸成代と藍染だけが幸せで、周りは何一つ納得していない。そういう後味の悪い感じにしたくてこのエンドにしました。