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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第35章 残照、やがて水没




恐らく、この子は、かつてはその能力を用いて私を殺すつもりだったのだろう。しかし、この子は自分ごと私を貫いた。その理由が、私との約束の所為であったらしい。あんな口先だけのやり取りを約束だと受け取ってしまったのだろうか。或いは、私だけを殺すことに、優しいこの子は耐え切れなかったのかもしれない。いずれにせよ、私は選択しなければならなかった。この子を切り捨て、崩玉の力で復活するか。この子の命をかけた願いを叶え、野望を諦めるか。


「………………本当に、君には敵わない」


笑う。野望を叶えるにしても、この子が隣にいなければ意味がない。この子を失った世界を、この子を愛してしまった今、一人で歩んでいこうとは思えなかった。本当に、やってくれる。この子は最後まで私を振り回す。流れ落ちる涙と血を拭った愛美が、私に口付けを落とした。愛している、と。私の決断に対する駄目押しの一声だと分かっていながら、愚かな私は喜んでしまうのだ。












この子の中に封印される。あの子が浦原喜助と組んでいたのは予想外だったが、まあ、良い。穏やかな気持ちに包まれる。あの子が私を想って泣いていた。いつも平子真子の為に流されていた涙を、漸く私にもくれたのだ。長年の野望よりも、この子の死を見たくないという気持ちが強かった。この子に封印されてしまったということは、死ぬ時は同じだ。恐らくだが、この胸の中に置かれた猛毒はあの子の解号で機能するのだろう。その時を、ただ静かに待つだけだった。


不意に、景色が変わる。虚圏の中に創った砂漠と青空とよく似た場所。晴れているはずなのに、しとしとと雨が降ってくる。愛美の精神世界だろうか。



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