第33章 故に、君と、心中
そして、右手の袖口に隠していた神鎗で、
---「私ごと」、藍染隊長を貫いた。
「は、」
痛みに耐えながら息を吐く。口から血が零れて、白い死覇装を赤く染める。グリムジョーや護廷のみんなが口々に何かを言っているが、そんなことは今はどうでも良い。藍染隊長を振り返る。
「……藍染、隊長………」
胸に手を当て、苦しそうに、それでも不敵に笑う彼。
「…君の狙いなど最初から知っていたさ…知っていて私は君を連れていた…」
私の殺意を知っていながら、私がどう動くのかに興味があったから放っておいたのだと、彼は言う。
「……お互い、誤算、だったんですよね、」
「……」
「私が貴方に情を覚えてしまったんも、貴方が私を愛してしまったんも、」
笑って、重い身体に鞭打って藍染隊長を抱き締める。
「貴方の勝ちです、藍染隊長。貴方んこと、憎みきれんかった」
愛美、と。私の名を呟いて、彼が私を抱き締め返す。このままだと死ぬのは君だけだ、私はこの程度では死なないよ、と。
「嘘、つきました。言うたほど長く延びません、言うたほど迅く延びません。ただ、延び縮みする時一瞬だけ塵になります。ほんで、神殺鎗の内側に、細胞を溶かし崩す猛毒があります。神殺鎗の真ん中、刃ァ欠けてますやろ。それ、---私と藍染隊長ん中、置いてきました」
がくりと身体から力が抜ける。そんな私を支えながら、彼は私とともに膝をついた。
「約束、したん、覚えてはります?」
「……愛美…っ」
「私んこと、ほんまに愛してくれてるんやったら、お願いです、……一緒に死んでください」
祈る。彼の大きな野望よりも、私の死を誰にもやりたくないと言った彼を信じる。(死ぬ時は一緒や、言うたやないですか。)彼が自身に崩玉を取り込んでからそんなに時間は経っていない。まだ融合に至っていないはずだ。だから、崩玉を捨てられるはずなのだ。捨ててくれと、祈る。後生だから、私と共に、死んで欲しい。
「………………本当に、君には敵わない」