第33章 故に、君と、心中
藍染隊長の隣に立つ。グリムジョーは私の隣に立ち、頬から流れる血を拭った。平子隊長との斬り合いは楽しかったらしい、彼の瞳が爛々と輝いている。ええ子やらか"待て"な。言うと、犬扱いすんなと吠えて私を叩こうとしたその手をヒョイと避ける。悔しがるグリムジョーをあやしながら、目の前に対峙する彼らを見る。護廷十三隊の隊長格と、仮面の軍勢、そして、黒崎一護クン。総隊長はどこに行ったのだろうか。
「市丸隊長……!」
「愛美、」
そうして、治療により復活した乱菊、イヅル、東仙サンを倒した檜佐木クンが参戦する。私の名を呼ぶ2人に変わらず笑みを向けながら、状況を確認した。雛森チャンは射場副隊長とお留守番らしい。その判断は正解だ---彼女を藍染隊長に近付けるのは誰でも不安に思うだろう。
こちらの戦闘員は藍染隊長と私とグリムジョーの、たった3人。それでも負ける気がしないのは、きっと藍染隊長が強すぎるからだ。呼吸の荒い乱菊を見遣る。辛うじて回復できただけでとても戦闘なぞできそうにないその様子に、どうして下で雛森チャン達と大人しくしておいてくれないのだろうとこっそり溜息をつく、と。
「どうやら間に合ったみたいっスねぇ」
この緊張感の無さ。やっと来てくれた、間に合ってよかったと安堵する。
「……浦原喜助」
藍染隊長の空気が少し変わる。それだけ彼は浦原サンの実力と頭脳を認め、そして警戒し、興味を抱いている。
「お久しぶりっスね、藍染サン」
感情の読めない瞳で浦原サンが藍染隊長を射抜く。そうして、すい、と視線を私に向けた。市丸サンもすっかり大きくなっちゃってと戯けて笑う彼に、そら百年も経てば成長しますわと軽口を返す。今のやり取りだけで分かる---浦原サンに頼んでおいた準備は、どうやら完成したようだ。
藍染隊長が浦原サンと言葉を交わすのを聞きながら、そっと目を瞑る。今日という日まで、何度も何度もシミュレーションは行った。護廷側に死人が出ていないという最高の状況で私がミスをする訳にはいかない。緊張に喉が乾く。唾を飲み込み、一歩、踏み出した。
「---流石に多すぎですやろ」
藍染隊長を庇うように、彼の前に出る。
「私が少し数減らしますわ。藍染隊長が刀振るまでもあらへんよ、」
鏡花水月の刀身に左手で触れる。
「………愛美」