第31章 もうすぐ僕は明日へ向かうから
泣く子も走って逃げ出す極悪人面を引っさげて、思い切り頭に拳骨を落とされた。その容赦ない攻撃に涙目になる。
「な、なんやの!こない強い力でやらんでもええやん!」
「うるせェ、これでもまだ足りねーよ!余計なことしやがって!死ね!」
その口ぶりで、彼が何に怒っているかを察するには充分だった。ということは、彼に仕掛けていた鬼道は発動したらしい。どうやら向こうで死にかけたようだ。
「…ん、ごめんな。せやけど、生きとって良かった。おかえり」
「チッ」
顔をプイと背けられる。照れている。かと思いきや、私と向き合う形で立っている平子隊長を鋭い目付きで睨みつけた。
「テメェは…あの時の」
「なんや自分、まだ生きとったんかい」
そうだ、グリムジョーと平子隊長は一度戦っているのだった。グリムジョーが抜刀する。
「あいつの相手は俺がやる」
「え、」
「俺がやるから下がってろって言ってんだよ。…その不細工な面直してこい」
言って、グリムジョーが平子隊長に斬りかかる。不細工な面、と言われてしまった。もしかして、上手く笑えていなかったのだろうか。2人の刀の応酬を見ながら、今からどうしようかと思案する。…しようとしたが、叶わなかった。頭上から迫り来る刃を神鎗で受け止め、身を引いて距離を取る。
「…あらァ、まさか私んとこ来るとは思わへんかったわ」
久しぶりやね、黒崎一護クン。
もうすぐ僕は明日へ向かうから
(止めないでください、その理由を知ろうとしないでください。引き止めないでください、…どうか、助けないでください)