第53章 生還
「独りかどうかはさておき、
死んでも良いと思いながら生きる時間はどれ程辛いでしょうか…あれからずっと考えています。
だから、やっぱり私は政宗と共に死にたい」
決意の瞳を政宗に向ける瑠璃に政宗は応えた。
「…解った。
お前の覚悟と捉えておく」
「?」
よく分からないと言った表情で自分を見る瑠璃に政宗は
「でも今は俺と死ぬんじゃなく、
俺と生きる事を覚悟して生きろ」
雄然とした蒼い瞳を向け笑う。
「…政宗…」
瑠璃の眼にジワリと涙が滲んだ。
「勿論、その時が来ても絶対に手は離さない」
その時…
最後の時が来ても
(手を握っていてくれる…って…)
「うん!約束ねっ」
瑠璃が普段絶対に見せない幼さと純真さを笑顔に見せる。
近親者や大好きな人に無垢な子供が約束を強請るような。
好意が溢れて見える様だった。
(お前がそんな風に笑うのは俺の前だけだと自惚れてもいいか?)