第53章 生還
「あっ。ぁ、ぁ、政宗ぇ、ゃぁ…イっちゃ…
…ぅ、ぁ、「クッ…ッ…俺で、果てろっっ」
ぁぁ!ぁぁぁーーんん」
吹き込まれ、悪寒に似た快感にゾクリと震えて瑠璃が声を空に大きく放った。
フルフルと震える瑠璃の軀を抱いて政宗も最後のひと突きにビクッと軀を震わせ瑠璃の内に果てた。
は…ぁ…
「政宗…好き、好き……政宗…」
「俺も、…愛してる」
「政宗……た?」
息を整えながら瑠璃が問う。
「あったりまえだろ。
どれくらいぶりだと思ってるだ」
フフフ…
まだ艶色香を全開にしている瑠璃が満足気にちょっと笑う。
「でも、残念の事もあるな」
「何?」
「お前が着物着てること。
お前の体温、直に感じたかった」
「私も……」
瑠璃の素直な答えに政宗が少し眼を丸くする。
「…でも、ここ、外だし、ね」
明朗に笑う瑠璃に、政宗は満足する。
(もう、扉はこじあけなくても良いみたいだな)
『素直になれるよう、努力しますね』と
政宗の誕生日に言った瑠璃は、
それ以来、何かと可愛い。
(素直だと、可愛いすぎて困るな)
と政宗は笑う。
「ん?どうして笑うんですか?」
「別に」
銀鼠色の瞳が自分を映している。
「ずっと、俺だけを見てろよ」
政宗はそう言って瑠璃にもう一度 口付けた。