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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第53章 生還




「そんな顔すんなよ。また選べばいい。
また買ってやる。
それも、もっと良いやつをな」
「一緒に選んでくれますか?」
「当たり前だ」
ようやく瑠璃が笑顔を見せた。

「俺は、お前が何をどうしたって一向に構わない。
お前がお前であって、俺の傍にいるのなら、
それで、それだけで良い」
政宗の気もようやく、少し凪いだ。


「怪我は快くなったときいた」
「はい、肋が少々痛みますが、そのうち引っ付くでしょうから心配いりません。
折れた肋骨が肺に刺さらなくて幸いでした」
「肺臓にか?」
「ええ、刺さってたらこの時代ならそのうち死にます」
そんな事を考えていたのか…と政宗は驚くも呆れる。
「500年後の日の本は病の解明も進んでいるんだな」
若い女で一般人の瑠璃が易々とそんな事を言うのは、そう言う事だと政宗は思ったのだった。
「そうですね。
天然痘も風疹も破傷風も吐血病も怖くはありません。みな、完治する病です」
「平和で良い時代なんだな」

(それなのに、なんだって、こんな時代に残ってんだよ)

「でも、私はここが良いかな。
政宗がいるから」
「瑠璃…」

偽善かもしれない。
幻想かもしれない。
愛する人が居ればなんでも、幸せだ、なんて。
けれど、
でも、
何と言われても、今は、この人がいれば生きていける。
いなければ、どんなに平和で満たされていても、幸せに生きてはいけない………。


そう、瑠璃は思いながら政宗の胸、
その鼓動を聴きながらそっと眼を瞑った。








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