第53章 生還
数分後、瑠璃は政宗の腕の中で泣いていた。
「泣くなって…」
政宗が瑠璃の背中を摩る。
「お前が泣くのは……」
(誰かの前で感情的になる事の無いお前が、
に涙を見せるのは、悪くない)
悪く無いどころか、嬉しく思う。
(けれど…だから……)
「困るんだよ」
余り泣かない瑠璃だから、たまに泣かれると困る。
なのに、
政宗は泣いているのに甘く満たされた気持ちになる。
「政宗……」
「悪かった。直ぐ探せず……」
後悔と懺悔。
そんな事で泣いているのではない。
探しに来なければ探せば良い。
迎えに来なければ、自分から戻れば良い。
「良かった…政宗…」
無茶をして、戦に敗れて怪我でもしていないか、
「心配したよ…」
「おいおい、俺を心配してたのか?
お前、俺を誰だと思ってんだよ〜」
(…お前がそんなに俺を想ってくれるなんて)
「腹が立つくらい、可愛いな」