第52章 探り合いの戦
「はい。政宗さんは戦をしたかったんですか」
「そんな顔してるか?」
「いえ、ですが、不完全燃焼のようには見えます。
戦をして暴れれば少しは気が晴れるタイプかとおもったんですが」
「なんだそりゃ…ま、あながち間違ってないが…」
政宗が力無く笑った。
政宗が不本意に思っているのは叔父と母に対しての自分の態度、甘さにだった。
鬼になり切れない……
(次は絶対にないと思えっ)
最上と自分への戒め。
「よし、瑠璃を迎えに行くか」
「そうですね。
きっと、怪我も良くなって、政宗さんを待っていると思います」
気を取り直そうと空元気な声を出した政宗を佐助が気遣う。
「明日朝出立だ」
内紛から派生したこの度の戦、
思ったより時間を要した。
黒川氏と大崎を片付け、
最上義光の居城へ移動し、
包囲して5日待った。
退きも撃って出もしない伊達軍に痺れを切らせた最上義光が政宗との話し合いを要求してきた。
話し合いは伊達軍を背後から囲う為の時間稼ぎも兼ねていたのだが、それは政宗にまんまと見破られていた。