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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第52章 探り合いの戦




「くそぉーーーっ!」
吼えた政宗は気が触れたように頭のない骸軀を斬り刻む。
手ごたえのない筋肉を無駄に斬りつけるだけ。


手当たり次第、
何度も、斬り付け、
滅多刺しにし、
蹴り倒した。


ハー…ハーァ〜…ハー…
肩で息をする政宗は、ギュゥゥと刀の柄を握り締める。
「くそぉぉおぉーーーっっ‼︎‼︎」
収まらない怒り。
大将を殺し、勝利したにも拘らず、
煮え繰り返る腹の底は収まらなかった。

(こんな事しても、帰って来ないッッ)

虚しく、腹立たしく、苛立った。

瑠璃が突然居なくなったあの時の様だった。
空っぽの穴は真っ暗で、
全てを飲み飲んでしまう程の痛み。

(クッ……)

今、払っても払っても湧いてくるのは怒り。


半ば怒りに我を忘れた様に踵を返すと、
政宗は残って戦う兵士へと向い、
猖狂(しょうきょう)と刀を薙ぎはじめた。

黒川氏と最上の兵士が散り散りに逃げ惑う。


両手の刀が一瞬も留まる事なく宙を舞い、翔る。

我を忘れ、手当たり次第。

政宗自身が人を斬る閃く道具の如く。






(伊達殿は収める場所を見失われたのか?)

謙信の援軍大将が危ぶむ。
「荒れてますね、政宗さん。
此処は俺に任せて下さい」
「やっ、いつの間にっ⁉︎」
そっと聴こえた声に反応しても、そこに声の主は居なかった。







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