第52章 探り合いの戦
わぁぁぁー!
ぅおおおおー!やぁ!ギャァ!
激と雄叫びを上げる兵。
刺し貫かれ上がる悲鳴。
全軍散り散りに乱れ入り、死を背負っての乱刀乱武。
「怯むなぁ!」
敵の声に政宗は
「無理はするな!お前たちは深追いをするな‼︎」
馬上からゲキを飛ばす。
「確実に仕留めろ!
前線は俺が開くっ!」
馬に乗り前に斬り込んだと思うと、あっという間に敵将を守る近衛兵達の前に降り立った。
「義隆様をお守りしろ!」
黒川氏の近衛兵と大崎家に仕えている数人の家臣が政宗の行手を塞いだ。
「俺の前に立った者は全員容赦はしねぇ」
激昂的でありながら冷え冷えとした気を放って政宗が威圧する。
相手側は固唾を飲んで柄を握りしめている。
一触即発…動くのはどっちだーーー…
「大崎義隆…お前を殺しても、俺の一部は帰ってこねえが…奪った罪は償ってもらーーう‼︎‼︎」
蒼い瞳の虎のように獲物を威嚇し咆哮を上げた。
刹那、
両刀を広げ嘘みたいに軽やかに、
一気に駆け出した。