第52章 探り合いの戦
政宗は謙信の援軍を前に腕を組んで考えながら話していた。
「最上の叔父上は大崎に付いている。
退却の願書を送ったが、相も変わらず母上から俺に「刀を収めよ」との書状が届いている。
答えは「却下」だ。
読み通り、大崎は黒川の城へと逃げ込んだ」
少数の兵を連れて逃れていた大崎義隆は、
黒川氏の居城が伊達軍に包囲されている事を知らず、黒川氏を頼って逃げ込んだのだった。
「アイツら同時に討ち取りたいもんだぜ。
最上とはその後だ。
退却しない最上軍の数も可能な限り削りたい」
政宗がそこまで話すと
「謙信様からは、「伊達政宗の指揮に従え」との命で参っております。
何なりと」
さすが軍神の兵、謙信の命令には絶対順守だ。
政宗が眼を細めてから頷いた。
「決戦だ。
黒川の居城で大崎を取り、黒川も叩く。
最上とは最後に対峙する」
政宗は上杉軍の大将と策を詰める。
そして始まった、大崎攻め。
狭い陣地に両軍入り乱れ、武器を交える。
ギン!キン‼︎
カン!
ガガガーン!
刀、槍、盾が攻防の音を上げ、
鉄砲の音がが耳をつん裂く。