第51章 独りの行方
なんとか持ち堪えてここまで来た瑠璃だったが、身体の震えが止まらない。
しばらくして
「瑠璃っ」
急足でコチラに向かってくる
その声と姿を目にした瑠璃は
「………ま…」
名を呼べないまま、踣斃のごとく眼を閉じた。
「何故もっと早く伝えなかった」
膝の上に抱いた瑠璃を見下ろし、
拳を握り締め門番を咎めても、
「申し訳ありません…余りの見窄らしさに、物乞いかと…」
最もな言葉しか返ってこなかった。
あの懐剣がなければ、おおよそ瑠璃だとは信じられはしなかっただろうから。
(其方、何故、このような着物で…)
着ていた着物は門前で剥ぎ取った。
汚れた着物の下は絹の長襦袢だったが、
左胸部は切れて血に滲んでいた。
それに、酷く軀が熱かった。
(熱に震えているのか?)
目の上も腫れて瘤が出来ている。
まったく自分の知っている瑠璃ではない。
「……ッ」
襦袢も結びを切ると、軀から剥ぎ取れば、
「……」
それでも真っ白だろうと思っていた軀も青痣だらけだった。
門前で裸にした瑠璃を見て門番達は喉を鳴らしたが、其れについては咎めず、発熱する軀を抱き上げると
「それらは全て捨てろ」
と言って城へと歩いた。