第51章 独りの行方
「迷惑なんだ…
助けておいて、なんだけど…」
苦渋に寄せられた眉は、タミの心苦しさを表していた。
言いたくて言っているのではない事は誰の眼にも明白だ。
本当に嫌なら最初から助けないだろう。
「まって……私は…追われ……ません」
「じゃあ、なんで、全身傷だらけで川を流れてきたんだい」
瑠璃はなんと説明すれば良いか考えて、口を噤んだ。
伊達軍の勝利を見た訳ではない、
勝ったからと言って直ぐに戦が終わるのかは分からない。
勝ったからと言って追われないとも言い切れない。
(私はまだ、知らない事ばかり…
もし、残党が私を探していたら……)
瑠璃には言える事は何も無かった。
考えた末
「…明日…出て行きます……」
そう答えるしかなかった。
苦渋でもなんでもない、其れしか答えが無かった。
「すみません…ここは、何領でしょうか……」
「ここは…」
耳を疑った。