第49章 後方の敵
「どうした」
(コイツは瑠璃に付けた兵だ…
それに、瑠璃の姿がない)
違和感を感じた政宗の気が冷たくなる。
「瑠璃は天幕か」
「いっ…いえっ、そ、それがっ……」
逃れたのは瑠璃を捉えていた男だけ。
残る2人は瑠璃の護衛兵が捕え、縛り上げていた。
兵士の話を聞いた政宗は
「連れて来い、と言いたい処だが、俺が行く」
甲冑を纏ったままの姿で野良猫の元に向かった。
「何処から入った?とは愚問だろうな」
おおよその兵が出払っている時ならすぐに潜り込める。
「で、誰に頼まれた?」
蒼い瞳を鋭く向けられ縛られている男2人は震え上がる。
「金の為か?
命が惜しければ言え」
「……」
沈黙が続く。
「そうか、言わねぇのか…」
苛立ちを見せるのかと思ったが、
政宗が見せたのは狂気に満ちた笑だった。
「折角、金が手に入っても死んじまっちゃぁ意味がないだろ?
お前らが喋ったって相手はどうって事ねぇよ。
それどころか、しめた、と、思うだけだ。
だから、気にせず言え」
政宗が笑っている。
底知れぬ殺気を放って。