第49章 後方の敵
「誰に頼まれた‼︎」
刀でお互いを押し合いながら、こっちの兵士が問う。
「金を積まれりゃ誰でもいいさ」
「落ちぶれ者がっ」
そう言っている間に、私を捉えた男は、
仲間であろう者を残し、後方の天幕のを跳ね上げ逃げ出す。
「っっ」
私は咄嗟に天幕を掴んだ。
「チッ!何やってんだ!」
「そう簡単に諦めへんしっ」
「面倒くせぇ女だなぁ!」
男は語気を強めると、怒りの眼で私を見る。
睨み合っていると
「ぐっ…ぁ……」
私は身体に拳を叩き込まれ、
すぐに痛みに飲み込まれた。
薄れる意識で、私を捕らえたことで踊らされ、政宗が戦を止めてここに戻ってくる判断をしない来ない事を私は祈った。
大崎軍に痛手を与へて戻って来た政宗。
「明日の一戦で勝利出来るだろうな」
兜を脱ぎながら、小十郎に話している政宗の所に、
「政宗様っ!」
兵士が跪た。