第49章 後方の敵
言葉からして敵に金で買われたのだろう。
歯痒さは否めないが、どうしようもなかった。
私は盾にされながら、後ろに引きづられる。
「夕暮れの休戦まで知らせないで」
「しかしっ」
「いいから!」
(敵方が私を餌に政宗を誘き出すつもりなら、すぐには殺されはしないはず)
そう思うしかなかった。
戦場についていくと言ったのは私だ。
勝利を優先しなければならないのに、
私は、既に足手纏いだ。
これ以上不利になる事は避けたい。
今、目の前の闘いに専念するためには、
この状況を知らせるのは最大限遅らせたかった。
野良猫が1匹ならなんとかなりそうだったが、3匹
隙をついて、攻撃するというのも難しそうだ。
1人が私を引き摺り少しづつ後ずさる。
それを守るように前に2人が立つ。
ジリジリとした緊張……。
「おのれぇ!」
こちらの兵士の大声がその緊張を破った。
瞬間、
ガッ、ギィィン!
刀が擦り合う音が響いた。