第49章 後方の敵
瑠璃の理屈に唖然とした。
「お前……」
覚悟ある銀鼠色の瞳が政宗に挑む。
(…正解のない問答だ。だが…)
「何かあって守りきれない事もある」
「解ってます。戦場で確かな事は何もないのも」
瑠璃は引かない。
(……俺の見ていない処で何か起こるよりは)
「何もないに越した事はないが…もし、俺の居ない時に城で何かあったら後悔しかないな……」
まだ渋り気味の政宗に瑠璃はキラキラと期待と勝利の眼差しを向けながら言う。
「仕方ないから連れてってくれるんでしょう?」
「…仕方ないから…な」
そう言って正当みなたいな屁理屈を言って我儘に瑠璃はついて来た。
俺の居ない時、城に居て何かあったらーー……
(それなのに……)
すでに後悔が脳裏を過ぎてゆく。
まだ行ったばかりの伊達軍。
「瑠璃様っ!」
護衛にと残っていた兵士が刀を抜くが、
私を盾にされていては何も出来ない。
「鼠や蝙蝠に気をつけていても、突然迷い込んだ野良猫はどうしようもあらしまへん」
私は護衛の兵士にそう言った。