第49章 後方の敵
政宗は当初、戦に連れて行くつもりで安土から瑠璃を連れて帰った。
が、最上義光との対峙は元々、家の内紛。
見せたいモノではなかった。
しかも、実母が実子に対して敵と成らんと絡んでいる。
瑠璃を見たらどう行動に出るか
想像に易くも、想像に難しかったからだ。
瑠璃を明け方まで抱いた翌日。
政宗は「話がしたい」と言う瑠璃と膝を突き合わせた。
(どう落としいれ、どう傷付けるか、分からない…だから)
「残れ」
万が一を考えた。
残らせようと思い直した。
「お前の事は誰も知らないと思うが、
何処に鼠や蝙蝠が潜んでいるか分からない。
だから残れ」
「嫌です」
瑠璃が一刀両断に拒否した。
「瑠璃……
連れて行くのが危険か、ここに残すのが危険かは、正直判らないんだ」
「だったら、一緒に行きます」
「瑠璃っ」
「私が此処で危険に晒されれば、此処にいる戦に無関係の他の方も危険に晒されます。
だったら、戦場で危険な目にあった方がマシです」
「………」
政宗は眉間に皺を寄せた。
(そんな訳がないだろ…)