第47章 城駐
「火急ってほどでもなかったみたいですね?」
瑠璃が弦を爪弾きながら琴に向かって話す。
「さあな…でも、事が起こる前に此処に居られるってのは、心安らかではある」
「どう言う状況なのか聞いてもよろしいですか?」
戦に首を突っ込むつもりはないが、
瑠璃も状況を知っておきたかった。
最上義光には大崎義隆がついている。
相家の関係は良好。
大崎氏は伊達家とも悪くはなかったが、
相馬と蘆名を攻めた為、関係を壊していた。
最上義光は伊達家の後継者に自分の家の者も参加させろと常々言って来ていた。
此処に来て、介入させてもらえないなら攻める事も辞さない、と文を寄越して来た。
「ま、それは、俺が留守にしているのを知っていてだろうがな」
政宗は茶をひと口啜る。
「大崎氏の方にいざこざが燻っているらしいが……
最上が攻めてこないならコッチも手を出す理由もないから俺は動けないでいるんだ」
「今は様子見、ってところですか」
「だな。
こうしてお前とゆっくりしてられるから悪くはない」
「束の間の休息、悪くないですね」
穏やかに瑠璃が笑った。