第47章 城駐
数日後、安穏な政宗の日常に知らせが入ってきた。
大崎氏の重臣の1人、氏家吉継が内紛の鎮静の為政宗に援軍を要請して来た。
攻める恰好の口実が降ってきたのだった。
そして黒川氏が伊達に腹背し、大崎につくことがわかった。
(黒川は潰すっ)
黒川を潰せば最上と交戦の可能性は高まるが仕方ないことだ。
(先に脅したのは叔父上だ)
先に大崎を叩くか、黒川を叩くか政宗は頭を悩ませていた。
大崎領の南東にある小郡を従属させている政宗は、そこへ火の粉が降りかかるのを防ぐため、
一旦、黒川を避け、先に大崎を攻めることを考えた。
「厳しいな…」
政宗は独りこぼした。
平らかではない土地で仕掛けた場合、
敵に囲まれる危険性は上がる。
たとえ、平地で一戦しても、逃げられたなら
山城での闘いになることはおおよそ間違いなかった。
「覚悟してかからなければ」
政宗は蒼い瞳に闘志の炎を点した。