第47章 城駐
「お前が泣いてたから」
指で涙を拭いただけだった。
それに驚いて瑠璃が起きたのだ。
「泣いてた?」
目元に手をやると、
「本当だ…」
濡れている左頬。
「怖い夢見たのか?」
「よく、覚えてない……怖くはない…」
朧気に覚えている。
そうだ……
誰かを見送った。
ひとつだったその背中が2つになって、
そして行ってしまった。
霞の向こうに……。
(あれは、にぃ様達…にぃ様っ…)
「にぃ様の夢を見たの…でも…政宗がいるから、大丈夫っ…」
瑠璃は政宗に抱きついてそう言った。
「……俺も、お前が居れば大丈夫だ」
政宗も瑠璃を抱きしめた。
瑠璃の傍にある温もりはもう政宗のものしかないのだ。
寂しくはないけれど、瑠璃は切なくなった。