第47章 城駐
「さっき、ちょっと目が覚めたとき、
政宗が政にぃ みたいや…と思うたんです。
それで、夢、みたんやと思う」
「寝顔が似てたのか?」
政宗は瑠璃を腕に抱きしめて会話をする。
「ううん。
小さい頃はよく、お昼寝する時、隣りで政にぃが寝てて、あったかかった、そんなんかな」
「仲が良かったんだな」
「はい」
政宗は胸が痛んだ。
瑠璃が選んだのだと思っても、
理解していても。
(この世に独りにしてしまった…)
そう思ってしまうのだった。
「まーさーむーね」
「?ん?…?お、わっ、瑠璃?なにすんだっ」
腕の中の瑠璃が体重を掛けて来たと思ったら、仰臥にさせられ、のし掛かられる。
怒っているのか、珍しくムッとした顔をして見下ろしてくる。
「瑠璃…?」
「次、そんな顔したら許さへん。
私は親族がおらんでも、にぃ様達を懐かしく想い出しても、寂しくも悲しくもあらしまへん。
政宗がおったら何も要らん言うてるっ。
いっつも、そう思ぉてるっ。
せやから、政宗が心を痛めるのは全く、間違ってるんやから!」
憤り。
普段あまり怒る事はない瑠璃が怒るのはいつもこんな事だ。
「瑠璃…」
「政宗が、傍に居てくれたらそれでいい」
憤りは凪いだのだろう、瑠璃は京訛りを仕舞い、銀鼠色の瞳を優しくした。
そして、柔らかな唇が重ねられる。
気持ちを伝えるように。
想いに寄り添うように。