第8章 隠秘慰撫(R18)
「お帰りなさい、政宗」
「ああ、…で、何かあったのか」
「んー、ちょっと?」
(ちょっと…ならココには居ないだろうが。くくく…)
「ふーん、そうか。日が暮れる前に、中、入ろうぜ」
そう言って手を差し出す政宗。
その蒼い瞳は優しい。
素直に従い、政宗の手を取った瑠璃。
そんな瑠璃が可愛くて、政宗は眦を下げた。
夕餉は呼びに来なくていい、と通りがかりの女中に告げると、政宗は自室に入り、
ピシャッと襖を閉めた。
「ちょっと上 向け」
繋いでいた手を離すと、瑠璃の頭を抱え、額に自分の額をくっ付けた。
「んー…熱はないな。
頭から湯気上がってるのが見えてるぞ」
ぷっククク…
と揶揄って笑う。
童子みたいだ。
(この人…笑ってる……)
政宗が自分を揶揄って笑う、そんな当たり前
の事が、とても貴尊な事に思えた。
「……」