第8章 隠秘慰撫(R18)
帰ってきた政宗は『瑠璃の場所』と勝手に名付けた、池に架かる渡り殿に居る瑠璃を見つけた。
独り、欄干に手をついて、空を見上げたり、池の水面を見たりしている。
(あそこに居るってことは…)
「まーた、何か悩んでんのかよ」
政宗が苦笑しながら、近付くと、
瑠璃が物凄く柔美に笑い返して来た。
そんな笑顔を見せる理由なんて、
政宗には分かりきった事だった。
(また隠しやがって)
美しくも柔和な微笑に、普通の男なら惑わされ、一瞬の違和感など、気付きもしないか、忘れてしまうだろう。
男の心を簡単に煙りに巻くほど、美麗に作られた笑顔。
自分の心さえも隠す完璧な、
作られた鉄壁の笑顔だ。
政宗はもう惑わされないけど、
誤魔化されてやる。