第47章 城駐
(雰囲気が…変わった?)
初めて挨拶をしたあの日に見た笑顔、
小十郎の知っている笑顔は、
作られて麗美だが怪しかったと記憶している。
だから、安土に出立するまで瑠璃をずっと訝しんで、気を張っていた。
それが、久しぶりに見た瑠璃の今しがた見た笑顔は、全く違う人物くらい違って見えたのだった。
(見間違いか?
それとも2年以上もあれば人は変わるものなのか?)
瑠璃が青葉城に戻ったのは3年以上ぶりだろうか。
唖然としていると政宗に呼ばれた。
「小十郎、どうした?
状況を聴きたい。入るぞ」
「はっ」
小十郎は瑠璃の事を振り払うように頭を下げた。
「瑠璃、長旅で疲れただろう?お前は湯浴みでもして休んでろ」
「はい」
政宗の言葉に静かに従順とする瑠璃の姿は以前と変わってないように思えて、小十郎は政宗の後に続きながら、小さく振り返ってもう一度瑠璃を見た。
その視線の先には以前と同じ様に、
口角を少々上げ、自分を見る凛艶な瑠璃がいた。
(やはり……判らぬ…)
小十郎は小さな猜疑を残したままに、瑠璃を背にした。