第46章 道中
波が立つ。
揺れる軀。
座っていても、寝転がっていても、海の上。
「瑠璃、遠くを見てろ」
「……」
青い顔の瑠璃に政宗が助言をしても、
時既に遅しだった。
「…ぅ……、何処見ても海や…」
あの日の後悔再びだった。
「船酔いに効く呪(まじな)いとか、
お前の時代にないのか?」
心配した政宗が在らぬ事を言い始めた。
(呪い?そんなもん…)
「あらへんけど…薬が……ぅ…」
(酔い止めがあったら良かったのに…)
「薬があったのか。
薬で船酔いしないとか…どう言う原理だ?」
独り呟いて首を捻る。
瑠璃はそんな政宗など構っていられなかった。
う……ぅぇ…ぅぐ………
打ち上げられた魚どころかトドかクラゲのようにへばって動けない状態が丸2日続いた。