第46章 道中
濡れないように髪をまとめ上げた瑠璃の頸が桃色に染まっている。
「政宗が、早く帰りたいのは解ります。
でも、信頼出来る人達に任せて来たんでしよう?
もっと、信じて任せていいと思うんです」
「………お前にそれを言われるとはなぁ〜…」
政宗は天を仰いだ。
水色の澄んだ空。
「俺にさえ心の内を晒せないお前に……」
「だから、ですよ。
政宗だって、家の事、戦の事ひとりで抱え込む必要ないって…」
「わーかってる、よっ。
ありがとな」
そう言って政宗は桃色に上気した瑠璃の首筋に顔をよせ、ギュッと軀を抱きしめた。
必要のない寄り道も、政宗の事を考えて。
「これでも、私は政宗の事を癒やしてあげたいと思ってるんですよ?」
(伝わってるさ)
「ああ」
焦って忘れていた。
(闇雲に走っても道を間違える…)
それを瑠璃は思い出させてくれた。
「やっぱり俺は、もうお前が居ないと駄目だな」
そう言うと、瑠璃が項垂れる。
(?)