第46章 道中
俺の到着する前に最上側が仕掛けてきたら…と思うと、気が気でない。
折角瑠璃との旅だというのに、安土に上った時より気持ちに余裕がない。
どんなに焦ったとしても、到着が幾日も変わるわけではないのも解っているのに……。
「政宗、その先に温泉が湧いてるそうですよ。
寄って行きませんか?」
「そんな時じゃ「一刻遅れたらッ」」
政宗の言葉を瑠璃が強く遮った。
「2刻駆ければいいじゃないですか」
そう言って挑目と政宗を見つめた。
挑むようで少し怒っているような顔をして。
(瑠璃……)
政宗は深い息を吐いた。
(色々、気ぃ使わせて……不甲斐ねぇな…)
「よし、入ってくか」
気持ちを切り替える事にした。
明るい中での入浴は全てから解放された気分になる。
「はぁー…肩の荷が下りた感じだ」
「ぅふふ…それは良かったですね」
瑠璃が振り向いて、本当に嬉しそうに政宗を見上げた。
「でも、気がするだけですけどね」
「おい、それ、お前がいうか?」
フフフ
政宗は笑っている瑠璃を腕の中に囲った。