第46章 道中
瑠璃の2度目の長旅もゆっくりする余裕はあまりなかった。
朝、曙の陽を見ながら馬を蹴り、
落ちる夕陽を見て馬を停めた。
「政宗、水平線に日が沈みますよ」
三河で海岸沿いに出た日の夕刻、
瑠璃は眩しそうな声音で馬を止めた。
「沈む陽なんて珍しくもないだろ」
「政宗らしくないですね。
いつ見ても沈む夕陽は綺麗だよ。
すこし、寂しいけどね」
政宗の気持ちが急いていて、奥州の様子を気にしてるのは解っている。
だからこそ、瑠璃は政宗の心を和ませたいと思う。
「夕陽を一緒に見れたなら、明日の朝陽も一緒に見れるってことじゃない?」
「美弥みたいな事言ってんな」
「こう言う時は、美弥さんくらいが丁度いいんですよ」
童女みたいに瑠璃は笑った。
それを見た政宗は、フッと詰まっていた息を吐き出した。
明日もその次の日もずっとずっと、
一緒に昇る朝陽を、
沈む夕陽を見ていたいと思うから……。