第45章 兆報
翌日、準備を整え、
その翌日、信長に出立の挨拶をした。
「瑠璃さん、気をつけてね」
美弥が明るい声だけど、寂しそうな表情で言った。
「美弥さんも。
何があるか分かりませんから、本当に気をつけて。
私が帰って来るまで、元気でいて下さいね」
瑠璃にしては真剣に美弥の手を握って言った。
「私、頑丈だから大丈夫だよ!
それに、意外と運も良いしっ」
美弥に伝わったかどうかは分からないな…と
瑠璃は思ったけれど、
「美弥さんらしいです」
と笑った。
そして瑠璃は信長に向き直ると
「信長様、くれぐれも…あの方に気をつけて下さいね」
「貴様、誰に言っておる。
俺は天下の信長だ。
心配するでない。
道中、長い、お前こそ気をつけろ」
フンッと笑い飛ばされる。
「はい、ありがとうございます」
瑠璃が真っ直ぐな声で応える。
「奥州が片付きましたら、戻ってきます」
「ああ」
政宗か挨拶をして馬に跨ったので、瑠璃も続いた。
「またね、瑠璃さん!」
美弥が手を振ってくれた。