第44章 足音
「…そっか、じゃぁ、まぁ、いい。
俺もアイツが明智光秀だと知ったのは、
お前達と別れてだいぶ経ってからだったしな」
元就が先にフッと気を緩めた。
元就は無理矢理答えを求めなかった。
それは、
元就が答え知っているからだと瑠璃は思っていた。
そんな事よりも瑠璃は他の事を考えていた。
(元就様は何故、安土に居るのかしら…)
最初から持っていた疑問。
でも、何故か、切り出せない。
それは、聴きたくない答えを瑠璃が考えてしまっているからだ。
(聞いたらなんて答えるんやろ)
そう思っていると、
「松寿丸さんは安土にはなんの用事ですか?」
「⁉︎」
モヤモヤと考えていた瑠璃の横から
何の気なしに、笑顔の美弥がソレを尋ねた。
美弥は疑念も邪推も恐れもなく、
ニコニコと、友達と話をする様に、
柔らかな笑顔で不思議そうに首を傾げている。
瑠璃は唖然と美弥を見る。
瑠璃同然、唖然としていたのは元就も同じだった。
「…コッチは毒気を抜いてくれる嬢ちゃんだなぁ」
元就がポリポリと頭を掻く。
内心 驚いたのは瑠璃だけではなかったようだ。