第43章 最近の姫の日常(R18)
昼間
「おい、瑠璃…」
政宗は瑠璃を呼び止めようとして、留まった。
「アイツ、秀吉と何処行くんだ?」
今日は秀吉は出掛けるとは言っていなかった。
政宗はこっそり後をつける。
ダァーン‼︎
「ハッァッ」
「クッ…」
投げ飛ばされて、畳敷の床に叩きつけられているのは瑠璃だ。
受け身を取る練習。
からの
「瑠璃、手の形はこうだ。
…そして、そこから、突き出す」
攻撃の仕方。
(柔術を教わってんのか)
政宗は建物の外側からそっと覗き見ていた。
現代のように道着なるものがある訳ではない。
袴を着たまま、形を繰り返すだけで汗が流れる。
それを袖口でそっと拭いながらも、
獲物を狙う鷹のように秀吉からは目を逸らさない瑠璃。
(一生懸命な瑠璃はとても綺麗だ)
涼しい顔で、穏やかに琴を弾いたり、
花を生け、茶を点てるのも見目麗しく美しいが、政宗は、神経を研ぎ澄まし、真剣に鋭い表情で相手に向かっている姿の方が美しく好ましいと思っている。
(で、なんで柔術なんか習ってんだ?)
何とももっともな疑問だった。