第42章 政宗、誕生日の噺ー後ー(R18)
「お前の…そんな表情(かお)みたら、すげぇ高揚する」
(それに近い顔を見せるのは、光秀にばかりだった………
ようやく、お前を手に入れたと思って良いんだろ??)
出会ってからずっと、半ば強引に重層の扉を叩き続けた。
そして、昨晩も卑怯な言い方をしたと思う。
でも、それを察して、理解した。
(瑠璃は思ってるよりずっと劣等感を抱えてる。
それを否応無しに受け入れて納得して生きてきた。俺はそれを取り去る、とまではいかなくても、軽くしてやりたかったんだ)
「もう、俺にお前の内側を見せてくれるか?」
「……今までの私とは様子が違っても大丈夫?見ても幻滅しない?」
「どんな?」
「…実は我が儘とか…」「上等だ」
「完璧じゃない」「そんな奴いない」
「出来ない事もあるし…」「誰しもある」
「構って欲しいとか」「いつでも目一杯、構ってやるぜ」
「甘えても?」「甘えられたいくらいだな」
「私だけ見てって言ったら?」
「今までもお前だけだっただろ」
「…キスしてって言ったら?」
「キスだけで終わらせない」
ンッ…ちゅっ…
「それから?まだあるか?」
「…わからへん…」
「あれば、いつでも、すぐ言えよ。
すぐに払拭してやるし、叶えてやるぜ」
得意気に笑った政宗が、
「あ…でも」
思い出したように付け加える。
「何でも叶えてやるけど、
俺の傍にから離れたい、ってのは叶えてやれないからな」