第42章 政宗、誕生日の噺ー後ー(R18)
「だって、政宗が私を守りたいのと同じくらい、私は政宗を守りたいんです。
政宗が守りたい物を守る手伝いをしたい。
政宗が私を生かしてくれたから…」
(この笑顔は……)
今、この、目の前のいつも冷麗とした女が、
その品位秀麗を脱ぎ捨てて
童女が慕う者に、
春の陽を受けながら純粋無垢で天真爛漫と、
心から笑いかけ話す様な声音で
「愛してるから」
と言った。
「…瑠璃…お前……」
指を絡め瑠璃の手を握った。
「政宗?」
不思議がる瑠璃の手を引いて、
手の甲に、薬指の澄んで青い指輪に、
唇を寄せた。
「…どうしたの?」
瑠璃が首を傾げる。
(お前が、ようやく、
重い扉を開いてくれたからだろっ)