第40章 政宗、誕生日の噺ー前ー
声の方を向くと、
何処かに隠れたそうな様子の瑠璃がいた。
羽織っただけの寝巻き。
打ち掛けのように裾を引き摺っている。
帯で結ばず、重ねて手で纏めている。
(すっげぇ、力入ってんな)
合わせを握る瑠璃の手を見た政宗は苦笑する。
クク…
「どうした?そんな処に立ってないでこっち来いよ。
俺への贈り物、持って来たんだろ?」
政宗は瑠璃が、後ろに、
自分への贈り物を隠しているのだと思っていた。
「…持って来た……」
「?」
(なんだ?)
瑠璃は政宗の前に詰めて、膝をついた。
「…これっ…プレゼントです……」
(ぷれ、ぜんと…贈り物だったっけな…)
自分の時代の言葉を使ってしまうほど緊張しているのだ。
政宗は また ちょっとだけ苦笑いを見せた。
そんな大緊張の瑠璃が
力一杯握っていた合わせを開くと、
寝巻きを落とした。
「………」
「////」
瑠璃は息を止めてるんじゃないかと思うくらい真っ赤な顔で、ギュッッと眼を瞑っている。