第6章 天主での押し問答
「言葉が足りぬか?」
「………」
信長の説明を促すかのように、瑠璃は口を噤んだまま。
「銃は、刀より容易に人を殺める事ができる。
直接肉に触れぬ故、殺めた感覚も実感が無いだろう」
信長は光秀に同意を求める視線をやる。
光秀は何の反応も見せなかった。
信長は続ける。
「故に、誰もが所持して良い物では無い。
けれど、昨今の戦には必要な武器だ。
それは否定できぬ。
だから銃は俺が所持数を管理している」
(管理…知らなかった…でも…いつか…)
「そうだ、瑠璃、貴様の危惧する通り、
いずれ無法的に銃が広がるやもしれぬ」
信長は瑠璃をみてフッと口角を上げた。
「……」
瑠璃はそんな信長には揺るがない。
真っ直ぐに、銀鼠色の瞳で見つめる。
(全く…何処まで、強いのか)