第6章 天主での押し問答
「それを阻止する為にも、俺は戦のない世を作る為に戦うのだ」
その言葉に信念と、緋色の瞳は哀悼の色を、信長が見せたように瑠璃には見えた。
「俺の考えは話した。
貴様の思いはなんだ、申せ」
黙り続ける瑠璃の前まで詰め、片膝を付くと、クッと顎を掬い瞳を覗き込む。
緋色の瞳が厳峻と瑠璃の銀鼠色の瞳を貫く。
鼻先が触れそうに近くで、震えが来るほど威圧的な気に触れる。
(切り裂かれそうや)
「瑠璃、勿体ぶるのか、答えるつもりがないのか」
瑠璃はゴクリと唾を飲んで、渇いた喉をなんとか潤す。
「……私は……銃製造に、加担したくはありません」
信長が眼を細め、光秀は瞠目した。
※厳峻…げんしゅん/おごそかできびしい。