第6章 天主での押し問答
「俺はそうは思わぬ。
どうかすれば、戦を拡大させる物だ。
間違って人を殺せば、憎しみの連鎖は始まる。
自分を守る名目であっても、人を殺せば同じ。
護った、殺した、どちらが先かは堂々巡りだ。
戦も武器も人を殺す物以外の何でもない。
だから俺は、出来るなら、無い方が良い そう思う」
外の景色を見ながら自論を口にしていて、
信長の表情は誰にもわからない。
「貴様もそう思うであろう、瑠璃」
そう言って振り向いた信長が見た瑠璃は
(…納得出来ねば答えぬか…)
まるで信長の答えが間違っているのではないかと思うほどに、真剣に煩悶とした面持ちだった。
※煩悶…はんもん/心にわずらい悶えて苦しい。