第40章 政宗、誕生日の噺ー前ー
「何故、今の暦を捨てた?」
「日本が南蛮と言う強大な世界と渡り合ってゆく為、捨てたのではなく、変えたのです」
「そうか。発展する為変化を受け入れたんだな」
政宗は何かを感じたようだった。
「それからさ、瑠璃は何で瑠璃って名前なんだ?」
「今日は質問攻めですね」
「いいだろ。お前の事もっと知りたいからだ」
「解ってますよ」
柔らかな笑顔を見せる瑠璃。
穏やかな空気。
「まだ存命だった祖母がつけたそうです」
照れ臭いのか、瑠璃は左手薬指の青龍の指輪を弄びならが語る。
「私が産まれた明け方の空は紫を帯びた瑠璃色だったそうです。
そして、その空は朝光を運んで来た。
藤原家にも幸運をもたらして欲しいと、
仏教の七宝の一つから命名したそうです」
「いいな。お前は俺にも幸運をもたらす七宝だ」
政宗はそれはそれはとても誇らしげにそう言った。
そして、
「それに、きっとお前は俺に会う運命だったんだな」
「私が?どうして、そうなりますか?」
「そうだろ。
まだ輝けない夜明けの空は明ければ、
青空に変わって輝くんだ」
恥ずかしくなるほど自信満々で得意げに。
煌めく蒼い瞳で真っ直ぐに瑠璃を見つめた。