第40章 政宗、誕生日の噺ー前ー
瑠璃が底に何かを隠したことなど気付かなかった。
「その前に火屋でも火薬を触ったりしたので、
残ってたんですかね。
政宗は本当に鼻が効きますね」
綺麗に笑っていた。
「あの時、コレ作りに行ってたのか」
花火を作っていたんだってこと。
今、糸が繋がった。
「騙されてくれましたね。
光秀様には火薬を扱う火屋を紹介してもらい、
政宗には内緒で花火を作っていました。
火薬の臭いがするって言われたときはヒヤッとしましたよ。初日なのに…。
政宗はなんでも鋭くてどうやって誤魔化してもバレそうでハラハラしました」
それでもバレずに済んだ事、とても嬉しいんだと見える。
「大成功、か?」
「はいっ!」
童女みたいな、でも乙女みたいに女らしく。
「大きな花火は安土の皆で観ましょう?」
「信長様にでも盛大にあげてもらうか⁉︎」
「そうですね。
信長様と美弥さんが1番楽しまれると思いますし」
想像した2人は顔を見合わせて笑った。