第40章 政宗、誕生日の噺ー前ー
「儚いけれど、ちゃんと政宗を照らしますよ」
と政宗の手に瑠璃が何か細い物を握らせた。
「何だ?コレ…」
握った細い棒を不思議そうに見つめる。
「花火です」
「花火……これが?…初めて見る形状だな」
この時代では打ち上げる大花火しかない。
しかし、瑠璃は手に持っている物を花火だと言う。
「もしかして……」
もう、半月以上も前だった。
「政宗、遅くなってすみません」
用事とやらで光秀と出掛けていた瑠璃が帰って来た時の事。
また光秀と出掛けていたのかと思うと政宗は良い気はしなかった。そのうえ、
「火薬の匂いがする」
と、政宗は勘繰ってしまった。