第6章 天主での押し問答
しかし、
「光秀には見せられて、俺には見せられぬと言うのか」
当て付けられる。
(あ……)
何かに気づいた瑠璃は、光秀を見た。
その視線を受け止めて、光秀が金色の瞳で何かを訴えた。
瑠璃は少し考える素振りで、目を閉じ、
息を吸って言葉を吐き出した。
「お見せ、出来ません」
信長の眼が鋭く眇められるが瑠璃は眉ひとつ動かさない。
「……信長様の、お答えによっては、ですが」
声色は粛恭としながらも、挑戦的な眼で信長を見る。
その眼を受けて、信長は吹笑を溢す。
「フッ……答えによっては、見せる、と言うことか?申してみよ」
そのやり取りの傍で、光秀が口元を上げ、笑っていた。