第39章 月がある部屋(R18)
「どちらかだけじゃ駄目なの…
一方的じゃ…嫌だよ…政宗…」
瑠璃が震える声で絞り出し、顔を背けた。
(だから書庫では…)
瑠璃が書庫での事に酷く蟠っていた理由にようやく合点がいった。
「ああ…瑠璃、悪かった。
書庫では本当に悪かった」
言葉をろくに交わさないまま、
性欲だけを満たした感じだった。
「もう軀だけ、みたいなことはしない。
約束する。
だから、泣くな。なっ」
政宗はチュッと瑠璃の目尻に口付け、
涙を拭った。
「お前が素直に理由を言って、
泣くのも、嫉妬するのも、初めてだな」
慰めているのだろうか。
口悪く揶揄う政宗が、楽しそうに見えて瑠璃はちょっと口惜しくて、面白くないし、恥ずかしい。
「たっ…他人の前でっ、泣くのも嫉妬するのもっ、
色んなこと話すのもっ、
全部、初めてやしっ。
キスとか抱きしめもらえるのとか気持ち良いってのも、全部、初めて知りましたっ」
(言い訳するアイツみたいだ)