第39章 月がある部屋(R18)
特別な会話でもなんでもないけれど、
とても特別な今。
静かで穏やかで、心地好い時間。
((特別でもなんでもないから、特別だ))
何故なら、すぐに失くなってしまうかもしれないから。
不粋なり 行灯照らす 夜半(よわ)の秋
月 輝きて 見知った白背 政宗
詠った政宗は、下から腕を伸ばし、後ろ首に手を遣ると、瑠璃に口付けた。
いつもは自然な流れで誘うか、
半ば強引に快楽を引き出す政宗だが、
時に風流で文識人的な処を見せる。
「いつもこうやって誘ってくれたらええのに」
(ちょっと嫌味っぽかったかな?)
瑠璃が心配と苦笑しながら政宗を見ると心配無用だったようだ。
「俺は軀が先に動く性分なんだよ」
と恥ずかし気もなく少年みたいに笑う。
そんな政宗に、瑠璃が詠み応える。