第38章 晴れの離宮
「あれは信長様が勝手に入って来て、
勝手にしたことで、不可抗力です。
私は無関係や」
「なんだそれっ、無関係なはずないだろっ」
政宗が喰い気味に畳み掛けた。
「とは言え…政宗を不快にさせたであろうことは謝ります。
申し訳ありませんでした」
(くっ…コイツ…先にしれっと謝りやがった)
突然謝られて肩透かしを食らった様で次の言葉を言い損なった。
(しかも、謝られた感がねぇ。
本当、光秀そっくりの知謀家だなっ)
完全に意表を突かれた。
「………」
なんとも悔しい思いが残るものの、
政宗は黙許するしかなかった。
「政宗?」
「あ"ーっ、もういいっ。俺の負けでいいっ」
政宗が根を上げる。
「やったぁ」
小さく拳を胸の前で作った瑠璃。
それはとても嬉しそうで。
(そんな風に喜ばれちゃな…)
しかも、気を張っていない素の様子で、
心の底から笑っているみたいで、
政宗は本当に、もう何も言えなかった。