第38章 晴れの離宮
お前が俺に
屁理屈みたいな我が儘言ってたことも、
隠さず拗ねてみせたことも、
理不尽な怒りを当てつけたことも、
なんとかして駄々を捏ねたかったことも。
藤隆姫が来た次の日から実は嫉妬して避けていたと言うことも、
ほとんどが初めてみせる態度だった。
いつも隠して、平気なフリで我慢してた。
すぐには口にしなかった。
けれど、今日は瑠璃から口にした。
俺に反論した。
それは、喧嘩をしても仲直りしたいと思っている証拠だし、それくらい気軽に言い合える仲になったって証拠だ。
そうだと考えれば嬉しくもなる。
「ま、要するに、お互い、どうしていいかわからなくてすれ違ってた、ってことだ」
結論はそうだ。
「でも、悪かったな。
藤ばっかり構ってて」
「…私も…頭では解ってたんだけど…
どうしても、イライラしてしまって…」
ちょっと俯いてる瑠璃を慰めるように頭を撫でながら政宗は吹息した。
フゥ〜
「手がかかってもお前なら悪くないんだよ、俺は」
「……政宗……」
瑠璃は政宗を見上げ眼を丸くしてから、
すぐに嬉しそうに眼を細め笑うと、
ぎゅっと政宗の背中を抱きしめた。
そんな瑠璃の様子に政宗も優しく笑う。
「もう、一緒に御殿に帰るだろ?」
「はい」
でも、まだお夕が怒りながら片付けているかもしれないからと、城下で新しい琴や鏡台などを見て歩いてから、御殿へと戻った。