第38章 晴れの離宮
「あ…ン……」
唇を親指でなぞられた時、ゾクッと背中が粟だった。
暫く感じてなかった感触と感覚。
政宗のキスは私の思考を乱す。
冷静な判断を出来なくして、全てどうでも良い気にさせる。
だから困る…。
(本当、タチが悪い…)
舌先を探られ
口内を侵食され
(頭が…痺れて……)
自分はこんなにも快楽に弱い人間だっただろうか…。
(お前は俺の与へるモノに弱いんだ)
口付けに没頭する瑠璃に、
政宗はニヤッと狡笑を浮かべた。
ちゅぱっ…と音を立てて唇が離れる。
はぁ…
色情が露わになる直接の顔の瑠璃が政宗を見上げる。
物欲しそうに細められた眼。
息を吐く半開きの唇。
湯上りみたいに紅潮した頬。
(色気、すっげぇな……)
率直な感想でゴクリと喉を鳴らす。
「…お前の感触、忘れる処だった。
はっきり思い出させてくれよ」
迫る。
許しを乞い、あやしていたはずが、
すっかり口説きにかかっている。
「政宗、そればっかり」
「大好きな女が目の前にいれば当たり前だろ」
(得意顔だなぁ…)
照れるけど、ストレートに好意を見せられるのは悪くない。
「政宗らしいですけどね」
クスクスの瑠璃が笑う。
「ようやく笑ったな」
政宗もホッとしたように笑った。
けれど、ここで瑠璃が本題を切り出してきた。
「あの、政宗…書庫でのコトは…」
1番蟠っていた事。