第38章 晴れの離宮
「政宗なんか嫌いなんだからっ」
「俺は瑠璃が好きだぜ」
瑠璃は政宗の胸に顔を押し付けて悪態をついたが、なんなくあしらわれる。
後ろ頭を撫でられ瑠璃はとても胸が締め付けられた。
「機嫌、直ったか?」
「……もっと……」
「ん?」
「…もっと言ってくれたら直る」
(なんだそれっ)
プッと吹き出しそうになるのを我慢して、
政宗は息笑を溢した。
(美弥みたいに、可愛いコト言う)
珍しい。
「良いぜ、お前の気が済むまで幾らでも言ってやるよ。
好きだぜ。
…好きだ瑠璃…好きだ…」
頭上に聴こえていた政宗の艶のある低音は、
何度目からか、耳元に聴こえる様になっていた。